二期倶楽部那須 パート I
(ラウンジ)

1986
建築設計:渡辺 明
家具製作:ヤマハ(株)、(株)カンディハウス

石の存在感、ぬくもりのある大谷石と太い地松の「ハツリ」仕上げの梁架構のこのたたずまいには、饒舌な表皮や家具によるしつらえは似合わない。
手の痕跡を残す石肌の豊かな空間を持つラウンジ、この「質」に呼応すべく、どっしりとした厚手で無垢の大テーブルと、背高な椅子が空間の軸線上に配されている。
又アプローチの水面に立つさざ波に、小川のせせらぎに耳を傾けると、木立を通して雄大な山並を見やる位置に開口部が切り取られ、そこに面して、ラウンジ・チェアが二脚ずつ置かれている。
動線、目線を考慮して、広幅の肘掛がサイドテーブルを兼ね、ゆったりとした間口でありながら小振りに見えるような形式を採っている。
白日の開かれた透明感に対比して、夜の帳が降りると手元に集められた光の束が求心的で静寂なよそおいを醸しだす。